ドッグフードについてインターネットで調べていると、
タンパク質について書かれている情報を見かけることがありますよね
- ドッグフードは高タンパク質がおすすめ
- 犬が消化できないから穀物メインのフードはNG
- 高タンパク質フードは腎臓病になる
などなど
このようなネット記事を見かけたことはないでしょうか?
最近は世界的に高タンパク質フードが評価されており、
- 動物性タンパク質50%以上配合
- 犬本来の食事を再現するために高タンパクを実現
などという高タンパク質を売りとするフードも増えてきました。
ただなぜ高タンパク質なのが良いと言われているのか?
タンパク質は愛犬にとってどんな働きをするのかなど。
肝心のタンパク質についてはあまり知られていないことが多いです。
この記事では
・なぜ高タンパク質フードが良いと言われているのか?
・ドッグフードに関するタンパク質の役割
について解説をしていきます。
この記事を読むことであなたの愛犬にとって高タンパク質フードは本当におすすめなのか?
どういったことに気を付けて選べば良いか理解していただけます。
先に結論をお伝えすると、
ドッグフード選びにおいて
『高タンパク質フードは確かにおすすめ。ただし高タンパクにこだわるよりも全体のバランスを考えることが大切』です。




タンパク質とは?


『タンパク質』とは20種類のアミノ酸が結合した状態の事を指します。
アミノ酸は体内でも作られますが、
それだけでは不足してしまうものを『必須アミノ酸』といい、
必要な量を満たすために食品から摂取しなければいけません。
この必須アミノ酸をバランスよく摂取することが食事の上でとても大切なのです。
アミノ酸ってなに?
私たちの身体を形作る物質の事。
アミノ酸は20種類あり、
筋肉や内臓、皮膚など重要な組織を作る源となっています。
私たちの身体も約20%はアミノ酸でできているんですよ。
タンパク質の役割
タンパク質は身体を作り、生き物が生きていくために不可欠な栄養素です。
- 筋肉
- 臓器
- 皮膚、被毛
- 血管
などの身体の基本となる組織や
- ホルモン
- 酵素
- 免疫抗体
といったあらゆる組織、細胞の源になります。
特に成長期の子犬には身体を作っていくために大量のタンパク質が必要です。
犬が必要とする20種類のアミノ酸のうち、食品で摂取が必要な必須アミノ酸は以下の10種類
・アルギニン
・ヒスチジン
・イソロイシン
・ロイシン
・リジン
・メチオニン
・フェニルアラニン
・スレオニン
・トリプトファン
・バリン
このうちの1種類でも不足すると身体に必要なタンパク質を合成できなくなってしまうのです。
そのほかの重要なアミノ酸
・メチオニン+シスチン
⇒含硫アミノ酸と呼ばれます。被毛の成長に必要なアミノ酸で、不足すると成長が遅れたり抜け毛が出たり、毛並みがパサついたようになります。
・タウリン
⇒フリーラジカルから身体を守る抗酸化物質でもあります。心臓や肝臓の機能をサポートする効果も。
※タウリンとドッグフードの関係はこの記事にも→ グレインフリーのおすすめのドッグフード5選
・カルニチン
⇒脂肪を燃焼させる手助けをしてくれます。有酸素運動の際に大きな役割を果たすアミノ酸
肥満対策としても効果的な栄養素です。
※カルニチンが豊富に含まれているドッグフードはこちら→【原材料別ドッグフード】ラム肉が主原料のドッグフード3選
タンパク質の必要量
タンパク質の必要量は犬種やライフスタイルによって異なりますが、
全米飼料検査官協会「AAFCO」によると
『すべての必須アミノ酸要件を満たしたうえで、成犬18%/子犬22%以上のタンパク質が必要』と公表しています。
またロイヤルカナンのヘルスニュートリションラーニングプログラムでは
『中型成犬の場合タンパク質の含有量は25%が理想』とされています。
ただし状況によってはより大量のタンパク質が必要になります。
市販されているドッグフードには『総合栄養食』『主食』『完全食』など、そのドッグフードだけですべての栄養を摂取できるフードが販売されています。 特に『総合栄養食』と表記されているドッグフードは、国内のドッグフード製造、販売についてルールを制定している『ペットフード公正取引協議会』の分析試験をクリアしたフードです。
悩んだときは総合栄養食の記載があるフードを選びましょう。
タンパク質と健康の関係


タンパク質はアレルギーの原因になる
近年発症する犬が増えてきている食物アレルギーですが、
食物アレルギーを起こす原因がタンパク質であることはご存じでしょうか?。
食材から摂取されたタンパク質を、身体が異物だと判断したときにアレルギー反応が起こります。
小麦やイモ、米などの炭水化物でもアレルギーが起こるのは、それらの食材の中にタンパク質も含まれているためなのです。
もちろん肉類(鶏肉や牛肉など)にもアレルギーリスクがあり、
最近ではアレルギー反応を起こす可能性が低い『新奇タンパク質』がドッグフードの原料として注目され始めています。
新奇タンパク質とは?
愛犬がこれまで食べたことがないタンパク質のことで、
その子にとっての新しいタンパク質に替えることで食物アレルギーの発症リスクを減らすことができます。
肉類でいえばダック、鹿、ワニ肉などあまりドッグフードの原料に使われていないもの。
タンパク質と腎臓の関係
数年前まではシニア犬になると腎臓の機能が低下するため、
タンパク質の量を減らしたほうが良いと言われていました。
インターネット記事でも見かけることがありますが、
長年の研究の成果からタンパク質制限は実際の所メリットがないことがわかっています。
それどころか高齢犬は、若い犬と比べてタンパク質を吸収する力が低下しているため、
筋肉量を維持するために適切な量のタンパク質摂取が必要です。
機能が低下した腎臓を維持するために気を付けたいのは、
タンパク質制限ではなくリンの過剰摂取と水分不足。
すでに腎臓や肝臓に疾患を持っている子でなければ、
あえてタンパク質制限をする必要はありません。
タンパク質を過剰摂取した場合は?
タンパク質は体内に蓄えることができず、
脂肪に代わって蓄えられるか尿となって排出されます。
ただ大量に排出されるとカルシウムも同時に排出してしまい
骨がもろくなってしまうので注意が必要です。
また過剰なタンパク質は老廃物としてアンモニアに変わるので尿が臭くなります。
ドッグフードを切り替えてから尿が臭くなった!と思ったときは、
タンパク質が多すぎるかもしれません。
タンパク質が不足した場合は?
タンパク質不足の時に起きる症状
- 子犬の発育不良
- 皮膚が荒れる
- 毛艶が悪くなり、毛並みがパサつく
- 免疫力が低下し感染症にかかりやすくなる。
特に成長期(子犬)時期にタンパク質が足りないと発育障害が起きてしまうことも。
成長期には、必ず栄養成分の整った子犬用のドッグフードを与えてください。
※子犬用のドッグフードについてはこちら→【ライフステージ別】子犬におすすめのドッグフード5選
高タンパク質フードは身体によい?


高タンパクフードの特徴
明確な定義はありませんが、一般的に『タンパク質:35%以上』含まれているドッグフードが高タンパク質と言われることが多いです。
タンパク質量はドッグフードのパッケージに記載されている『成分』を見ると確認できます。
環境省:飼い主のためのペットフード・ガイドライン:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/petfood_guide_1808/pdf/full_b.pdf
高タンパクのメリット
- 身体つくりや被毛維持のために必要な栄養素が十分に摂取できる。
- 運動量の多い犬は健康な筋肉を育てる。
- 炭水化物量の割合を減らすことで体重を減らせる。
- ドッグスポーツをする子は高タンパク、高脂質が推奨されている。
- 自然本来の栄養に近い食事を与えられる
高タンパクのデメリット
- バランスが取れていないと不調の原因になる
- 肝臓や腎臓に疾患を持っているとたんぱく質制限が必要
- 攻撃性が高まる
- 価格が高い
高タンパクフードがおすすめの子
- アスリート犬
- 運動量が多い子
- 成長期の子犬
- 糖質制限ダイエットが必要な子(炭水化物の割合を減らすため)
まとめ
タンパク質について知っておきたいポイント
- タンパク質は身体を作るうえで不可欠な栄養素。
- 総合栄養食であれば十分に必要なタンパク質を取れるので、あえて高タンパク質フードを選ぶ必要はない。
- 過剰な高タンパクは身体を壊すことも
- タンパク質で重要なのは量よりも質
- アスリート犬は高タンパク高脂質のフードを選ぼう。
タンパク質についての解説はいかがでしたでしょうか?
世界的に評価されている高タンパク質フードですが、愛犬に合うかどうかはその子の犬種やライフスタイルによって変わります。
メリット・デメリットを理解して愛犬に合うドッグフード選びましょう。

