ドッグフードの『灰分』ってなに?役割と種類について解説【灰分=ミネラルです】

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ドッグフードのパッケージに書かれている『灰分』。
成分表示に書かれているこの栄養素について、何のことかご存じない方も多いのではないでしょうか?

灰分は『カイブン』と読み、ミネラルの事を指します。
ミネラルの中にはカルシウムやリン、
鉄など身体を構成する大事な成分がたくさん。

今回は犬の身体を構成する灰分(ミネラル)について、
その種類や役割を紹介します。

この記事がおすすめの人

  • 灰分について知りたい人
  • 貧血気味のワンちゃんと暮らしている
  • 子犬を迎えた(これから迎える)
  • オールステージ用ドッグフードを与えている
目次

ミネラルの役割とは?

ミネラルは一つの栄養素ではなく、
100種類以上の栄養素の総称です。

身体に含まれる量によって『主要ミネラル』と『微量ミネラル』に分けられ、
その中で犬の身体に必要なミネラルは11種類とされています。

主要ミネラルと微量ミネラルは以下のとおり

主要ミネラル微量ミネラル
カルシウム
リン亜鉛
マグネシウム
カリウムヨウ素
ナトリウムセレン
マンガン

ミネラルは体内で生成することができず食物から摂取しなければいけません。
ただしタンパク質や脂質などと比べると必要な摂取量がとても少ないのが特徴です。

ミネラルは摂取量が多すぎても少なすぎても体調を崩してしまいます。
そのためバランスよく摂取することが重要なのです。

主要ミネラル

カルシウム

カルシウムは体内に最も多く存在するミネラル。
骨や歯を形成する主要な成分です。

他にも細胞間の情報伝達に作用し、
カルシウムが不足すると脳や神経にまで悪影響を及ぼしイライラしやすくなります。
牛乳などカルシウムの補給がイライラの解消に役立つと言われるのはこのためです。

カルシウムの吸収率はリンとマグネシウムの関係が深く関わっています。
カルシウム:1~2 マグネシウム:1 リン:1 のバランスで摂取すると効果的です。

リン

カルシウムの次に体内に多いミネラルがリンです。

カルシウムと同じく健康な骨や歯を形成します。
さらに糖質、脂質、タンパク質の代謝を促し、
細胞膜を形成する成分にもなります。

リンは添加物に含まれることが多く、
過剰摂取になりやすい傾向があります。
カルシウムとのバランスに気を付けて摂取したい栄養素です。

リンは慢性腎臓病を悪化させる恐れがあるので、
腎臓病の発症リスクが高まるシニア期はリンの摂取量を減らす必要があります。
特にオールステージ対応のフードを与えている場合はリンについて見逃しがちなので注意が必要です。

マグネシウム

カルシウムやリンと同じく骨や歯を構成するマグネシウム

ストレスにも働きかけ、
興奮を抑えたり血圧を下げる効果があります。
マグネシウムの摂取はカルシウムとのバランスが大切です。

カリウム

過剰な塩分を排出し、
高血圧を予防してくれます。

カリウムが不足するとナトリウムがうまく排出できず高血圧を引き起こしてしまいます。
また、ナトリウムとともに細胞の浸透圧を保つ働きも担っています。

通常不足しがちなカリウムですが、腎機能が低下している場合摂取制限が必要な場合も。

ナトリウム

水分バランスを制御するミネラルで、
カリウムと密接に関係しています。

細胞における浸透圧の維持やエネルギー代謝について重要な役割を担っています。
心疾患を持っている場合、摂取制限が必要になる場合も。

塩とナトリウムは同じではありません。
ナトリウムはミネラルの一種。食塩はナトリウムと塩素が結合した塩化ナトリウムのことを指します。

食品に含まれるナトリウム量から食塩量を換算した値が食塩相当量になります。
食塩の計算式:ナトリウム量(mg)×2.54(ナトリウム換算係数)÷1000=食塩相当量(g)

微量ミネラル

鉄は血液に含まれるヘモグロビンと筋肉に含まれるミオグロビンの成分になります。
酸素を全身の組織に運ぶ役割を担っており、
鉄分が不足すると貧血症状があらわれます。

ビタミンCには鉄の吸収を高める効果があり、
ビタミンCが豊富な果物や野菜と摂取すると効率的に鉄分を摂取できます。
※ビタミンCについてはこちら→ドッグフードとビタミンの関係は?犬に必要な栄養素ビタミンの種類と役割を紹介

亜鉛

亜鉛は特に皮膚や被毛に多く含まれ、
皮膚のハリを保ち毛並みの美しさを保ってくれます。

また亜鉛は味覚にも関与しており、
不足すると味覚障害が起こると考えられています。

鉄と一緒にヘモグロビンの生成に必要な成分で貧血予防の働きを担っています。

また、銅は亜鉛やマンガンとともに抗酸化作用について注目されており、
老化や生活習慣病の予防を期待されているミネラルです。

ヨウ素

甲状腺の原料となる成分です。

甲状腺ホルモンは身体の組織を作る原料やエネルギー源として利用され、
全身の細胞の新陳代謝を促進する働きを担っています。

ほかにも、最近はコレステロールの蓄積を防ぐダイエット効果にも注目が集まっているミネラルです。

セレン

活性酸素を分解し、身体を酸化から守る働きがあります。

なかでも、
もっとも有毒な活性酸素といわれるヒドロキシラジカルを除去する作用があり、
ガンの防止効果が期待されています。

海外のドッグフードにはセレン化合物(セレン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム)が添加物として使用されている場合がありますが、日本国内でセレン化合物は劇物に使用されており、含有量が厳しく制限されています。
理由は過剰摂取すると『嘔吐、下痢、皮膚炎、抹消神経障害』などの中毒症状を引き起こしてしまうというもの。
栄養目的の成分でも与えすぎには注意が必要です。

マンガン

主に補酵素として多くの控訴を活性化することで
骨の形成やエネルギーの産生に役立っています。

中でも骨の形成には欠かせないミネラルで、
不足すると発育不全が起こります。
軟骨の形成にも欠かせない成分です。

ミネラルの必要摂取量について

全米飼料検査官協会「AAFCO」が定めている基準量は以下の通り(2016年改訂基準)

成分単位
(乾物100g単位)
最少量最大量
成長・繁殖期維持期
カルシウムg1.10.72.9
リンg0.90.61.8
カルシウム/リン比1:11:12:1
カリウムg0.70.7
ナトリウムg0.30.07
塩素g0.510.10
マグネシウムg0.050.050.3
mg9.19.1343
mg0.830.8326
マンガンmg0.60.6
亜鉛mg13.713.7114
ヨウ素1711715,714
セレン12.612.6229
※セレン化合物の含有量は平成8年11月22日の「毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令」により、同法に該当しない範囲として亜セレン酸ナトリウム0.00011%以下,セレン酸ナトリウム0.00012%以下とすることが定められました

実際にこれらすべての栄養素情報を開示しているドッグフードメーカーはほとんどありません。
その代わり『総合栄養食』という表記はAAFCO基準を満たしている場合のみ記載することができます。
ドッグフードを選ぶときは『総合栄養食の表記があるか』一つのを目安にすると良いですよ。

ドッグフードを買うときに気を付けたいポイントは以下の2つです。

  • 総合栄養食という表記があるか?
  • パッケージに記載されている『灰分』が5%~10%に収まっているか?

選ぶときのポイントを確認して栄養バランスの整ったドッグフードを選びましょう。

まとめ

『灰分』ミネラルについての解説はいかがでしたでしょうか?

以下のワンちゃんと暮らしている場合は、灰分についても気にかけてあげたほうが良いでしょう。

  • 貧血気味のワンちゃんと暮らしている:鉄分や銅の補給が必要
  • 子犬を迎えた(これから迎える):骨を作るカルシウム、リンの栄養バランスが取れているもの
  • オールステージ用ドッグフードを与えている:リンの含有量を減らす

身体の健康に維持に不可欠なミネラルですが、同時にバランスよく摂取することが大切です。
『灰分』ミネラルについて学び、愛犬の健康維持に役立てましょう。

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