タンパク質、脂質と並ぶ『3大栄養素』と言われる炭水化物。
お米やパン、麺類に豊富に含まれる炭水化物は私たちにとってなくてはならない栄養素です。
ただしドッグフードにおいては不要論も見かける少し不遇な扱いをされています。
- 犬は穀物を消化できないから身体に悪い。
- 犬が肥満になる原因は炭水化物。
- タンパク質から作れるから犬に炭水化物を与える必要はない。
などと邪魔者扱いをされてしまう始末。
さらにタンパク質、脂質は
ドッグフードのパッケージに記載されているにも関わらず、
炭水化物は記載されていないことがほとんど。
そんな少しかわいそうな扱いの炭水化物ですが、
本当に犬にとって不要なのでしょうか?
いいえ、
実は炭水化物は犬にとってなくてはならない栄養素なんです。
なぜなら炭水化物に含まれる糖質は
脳のエネルギー源として重要な役割を果たし、
食物繊維は善玉菌に働きかけておなかの調子を整えてくれます。
どちらも健康に過ごすために欠かせない働きをする栄養素です。
そこでこの記事では
- 炭水化物の役割
- なぜ炭水化物が不要と言われてしまうのか?
- 1日どのぐらいの炭水化物を摂取すれば良いか?
について解説しています。
この記事を読むことで、犬に対して炭水化物が担う役割と重要性について理解していただけます。
この記事がおすすめの人
- アジリティスポーツをしている子
- ドッグフードを変えてからおなかの調子が良くない子
- ドッグフードの栄養について調べていて、ドッグフードに含まれる炭水化物量の調べ方を知りたい飼い主さん
炭水化物とは

炭水化物とは、タンパク質、脂質と同じ3大栄養素の一つに数えられる大事な栄養素です。
お米やパン、麺類に多く含まれ、私たち人間にとっては主食として利用しています。
ドッグフードではあまり意識されることはありませんが、
消化吸収が早く効率の良いエネルギー源として犬にとっても貴重な栄養源になります。
炭水化物の働き

炭水化物は糖質と食物繊維の2つに分けられます。
糖質
糖質は体内で主にエネルギー源として利用される栄養素。
『単糖類、2糖類、多糖類』に分けられ、
身体を動かしたり脳の働きを正常に保つために欠かせない働きをします。
3大栄養素の中で最も優先して消費されるため、
エネルギー消費の激しい子犬や妊娠中の雌犬、
アジリティスポーツをしているなど活動量が多い犬は
特にしっかりと摂取しなければいけません。
糖質はタンパク質からも糖質は作れますが、
食物から摂取したほうがより効率的にエネルギーを利用できるのです。
※糖質について詳しく知りたい場合はこちら→【糖質制限】糖質制限食は犬にも良いってホント? メリットとデメリットについて解説
食物繊維
食物繊維は犬にとって唯一消化できない栄養素です。
食物繊維は消化されずエネルギー源にもならないため、
犬に与えるカロリーをコントロールしながら満腹感を感じさせることができます。
また消化器系の健康維持や血糖値のコントロールに役立っています。
※食物繊維について詳しく知りたい場合はこちら→【第6の栄養素】便秘や下痢などのお腹トラブルに!食物繊維のすすめ
なぜ犬に炭水化物は必要ないと言われるの?

犬に炭水化物は必要ないと言われてしまう理由
- もともと肉食である犬の唾液にはデンプンを消化するための消化酵素(アミラーゼ)がなく、
炭水化物の消化ができないなため。 - かさ増しのために炭水化物を使ったフードは
うまく消化ができないので下痢や体調を崩しやすくなる
などと言われることが多いです。
穀物を使わないグレインフリーがおすすめされる理由の一つでもありますよね。
では実際はどうなのか?
確かに犬の唾液にアミラーゼは含まれていませんが、
膵臓でアミラーゼが作られ小腸に分泌されるため、
デンプンは小腸で分解吸収されエネルギー源として利用することができます。
決して消化ができないわけではないのです。
例えば炭水化物を主食とする私たち人間は、
デンプンを消化するため唾液にアミラーゼが含まれています。
犬は人間と比べればデンプンの消化が苦手と言えますが、
とある論文では『小麦、コーン、ジャガイモ』などの
炭水化物が含まれたドッグフードを与えたところ、
99%の消化が認められたと発表されています。
炭水化物がドッグフードに含まれる理由
先ほど記したように不要論もある炭水化物ですが、
どのドッグフードにも『タンパク質、脂質、炭水化物』が一定の割合で含まれています。
それはドライフードの場合粒状に成形するためにデンプンが必要だから。
さらに”栄養”という側面から見ても、
- 炭水化物の配合量を調整することで、
タンパク質や脂質を抑える必要がある犬へ向けて柔軟なドッグフード作りができる。 - 糖質は炭水化物からも作れるが、
食物から摂取したほうが効率的にエネルギー利用できる。 - 食物繊維はカロリーコントロールやお腹の体調を整える
など、
炭水化物が含まれることで様々なメリットがあります。
そのためほとんどのドッグフードには
一定量以上の炭水化物が含まれています。
1日に必要な炭水化物の摂取量

炭水化物の摂取量については、
ドッグフードの栄養基準を定めている
「AAFCO」(米国飼料検査官協会)では定められていません。
ただし妊娠中、授乳中の雌犬は大量のエネルギーを必要とするため、
最低でも20%程度の炭水化物を食物から摂取する必要があります。
※ペット栄養学会誌 (13)イ ヌ ・ネ コ の ラ イ フ ス テ ー ジ と栄 養(そ の1)
また授乳中の子犬やアジリティスポーツをしている犬も,
エネルギー源や疲労回復のために炭水化物が重要な栄養素になります。
環境省が公開している『知って納得!ペットフードの表示』では犬に必要な栄養バランスを
『タンパク質25% 脂質15% 炭水化物60%』と記載しています。
炭水化物の計算方法
ドッグフードのパッケージには炭水化物が記載されていない場合がほとんどです。
なぜならAAFCOでは「炭水化物の食事からの摂取は必須ではない」として含有量基準を定めておらず、
日本の法律上も炭水化物の記載を求めていないため。
そのため、
ドッグフードに含まれる炭水化物量は計算して求める必要があります。
炭水化物量の計算式
100%−(タンパク質 (%) +脂質 (%) +灰分 (%) +水分 (%) )=炭水化物(%)
簡単な計算で割り出せるので、
是非今食べさせているドッグフードで計算を試してみてくださいね。
炭水化物を過剰摂取すると?
肥満になったり糖尿病や動脈硬化など生活習慣病の原因になったりします。
過剰な炭水化物カットはお勧めできませんが、
適度な糖質制限は愛犬の身体にもメリットがたくさんあります。
ドッグフードを選ぶときに考えたい理想の栄養バランスは
『高タンパク、低脂質、低炭水化物』です。
不足すると?
糖質不足になるとエネルギーが不足し疲れがちに。
またタンパク質を使って糖質に変換するため筋肉量が減少することにもつながります。
食物繊維が不足すると腸の働きが低下して便秘がちになるので注意しましょう。
まとめ
炭水化物についてのまとめ
- 炭水化物は犬にとって大切なエネルギー源
- 食物繊維はお腹の調子を整えるために必要な栄養素
- 『炭水化物が犬に必要ない』は誤解
- ほとんどのドッグフードには一定量の炭水化物が含まれている。
- 炭水化物量を知るためにはパッケージに表示されていないので計算が必要
ここまで炭水化物について解説をしましたがいかがでしたでしょうか?
栄養素について学び、愛犬に合ったドッグフードを選びましょう。
